今月の主題 Common Diseases リアルタイムの診断・治療手順
腎・尿路疾患
急性腎不全
齊藤 博
1
1東京都立駒込病院・内科
pp.698-700
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901473
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医学の進歩にともない患者の原疾患がますます重症度を増し,高齢化現象が進み,急性腎不全の発生する患者環境が複雑,かつ多様化している.急性腎不全(ARF)は原因を除去し,治療することによって,その可逆性を高め,予後の改善につながる.したがって,ARFをできるだけ早期に,かつ正確に診断,治療することが大切である.
ARFとは腎機能が急速に低下し,体内の水や溶質を腎臓から十分に排出できず,身体の恒常性を保てない病態である.近年,原因の除去により速やかに腎機能が改善されるもの(腎前性,腎後性など)と,原因を除去しても腎機能低下の状態がしばらく維持されるもの〔腎(実質)性〕を区別して取り扱うようになった1).後者はintrinsic ARFといわれ,急性尿細管壊死(狭義)や,糸球体腎炎,血管炎,間質障害などによる腎不全(広義)が含まれる2).
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.