今月の主題 Common Diseases リアルタイムの診断・治療手順
血液疾患
貧血
大屋敷 純子
1
,
外山 圭助
1
1東京医科大学・第1内科
pp.664-667
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901464
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●初診時にまず何をすべきか?
WHOの貧血の診断基準によると,成人男性ではヘモグロビン(Hb)13g/dl以下,成人女性では12g/dl以下が貧血とみなされるが,貧血が軽度であれば自他覚症状を認めないことが多く,職場の検診などで指摘されてはじめて貧血に気づき受診するケースが増えている.急激に発症したものかどうかによって方針が大きく異なるので,発病時の様子や発熱,胃腸症状や出血症状の有無,便の性状(痔の有無),胃切除,胆石症などの既往歴,薬剤の服用歴,家族歴,スポーツ歴などについて問診する.
外来に受診する患者の大半は種々の全身疾患に続発して発生する貧血であることを念頭において診察を行い,一般的な理学的所見に加えて,爪や舌の変化,リンパ節腫脹や出血斑の有無,眼底所見,神経学的所見に注意する1).急性の消化管出血や白血病などの血液疾患が疑われるときは,緊急検査として末梢血液検査(白血球数,赤血球数,Hb,ヘマトクリット,血小板数,血液像),生化学検査のほかに血液型検査を至急行い,輸血の必要性,貧血のみかあるいは他の血球系にも異常があるのかによって基礎疾患の重症度を推定し,入院の要否を判断する.
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