今月の主題 高脂血症の日常診療
〈Editorial〉動脈硬化の予防と改善のための高脂血症の治療
松沢 佑次
1
,
永井 義幸
1
,
中村 正
1
,
船橋 徹
1
1大阪大学医学部・第2内科
pp.380-384
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901395
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近年の研究手法の進歩により,動脈硬化の発生機序も細胞生物学的レベルで解明されつつある.しかし,その基盤には古くからの疫学的,および臨床的研究から導き出された動脈硬化の危険因子の把握が重要な位置を占めていることはいうまでもない.それら危険因子の中で最も大きく関与するのは,脂質代謝異常であり,とくに血清コレステロールと動脈硬化性疾患の頻度はきわめて強い関連を有することから,以前からコレステロールを低下させることによって,動脈硬化の発生予防を企る試みがなされてきた.とくに最近の種々のコレステロール低下薬の開発や,LDL apheresis2)などの強力な治療法の実用化に伴い,それらの治療による動脈硬化性心疾患の予防効果や,動脈硬化病変の進展予防や退縮効果の検討が行われるようになってきている.本稿では,それらコレステロール低下療法の意義について,筆者らの成績も含めて概説する.
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