今月の臨床 HRT—ベストテクニック
HRTの効果
3.高脂血症・動脈硬化
池上 博雅
1
,
森重 健一郎
1
,
倉智 博久
1
1大阪大学医学部産科婦人科
pp.1354-1357
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903445
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虚血性心疾患の危険率は,男性と女性では異なり,男性では40歳代より加齢とともに徐々に高くなるといわれるが,女性では閉経期を境にして急増する1).虚血性心疾患の発症は,動脈硬化と深い関連を有し,高脂血症をはじめとする脂質代謝異常が動脈硬化の最も危険な因子であることが明らかとなってきた.動脈硬化による虚血性心疾患は,閉経後女性の重大な死因の一つであり,近年の疫学調査により,エストロゲンレベルの低下による心血管系への保護作用の破綻がその大きな要因として考えられるようになった.このような虚血性心疾患が増加する閉経後女性にホルモン補充療法(HRT)を行うと,心筋梗塞の発症率が著明に低下することが確認されている2-4).
ここでは,HRTによる高脂血症をはじめとする脂質代謝の改善作用,さらには動脈硬化抑制作用について解説する.
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