今月の主題 今日の心不全診療
薬物治療—適応,使い方,副作用
抗不整脈薬
山口 巖
1
1筑波大学臨床医学系内科
pp.630-632
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221622
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■心不全患者に対する抗不整脈薬療法の適応
心不全患者の不整脈には,原因疾患による不整脈(たとえば弁膜疾患の心房細動),あるいは心不全の原因となる不整脈(たとえば肥大型心筋症の心房細動)と,心不全に起因する新たな不整脈(たとえば心室性期外収縮の頻発から心室頻拍への移行)がある.したがって,心不全と不整脈は,それぞれが原因となり,結果になりうる.
抗不整脈薬使用の目的は,主として発作性頻拍の停止と予防および期外収縮の抑制にある.抗不整脈薬,とくにVaughan Williams分類のIA,IIおよびIV群薬は陰性変力作用を有し,心収縮力を低下させることにより心不全を誘発する可能性がある.抗不整脈薬療法の中止によって心不全が改善した結果,不整脈が改善・消失することもある.心不全患者の抗不整脈薬療法の複雑性は,これらの点にある.
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