検査
検査データをどう読むか
橋本 琢磨
1
1金沢大学医学部・臨床検査医学教室
pp.1830-1832
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901113
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患者:45歳,女性.主訴:易疲労感,耐寒性低下.既往歴:特記すべきことなし.家族歴:甲状腺疾患の患者はいない.現病歴および現症:1986年9月,甲状腺腫と血中甲状腺ホルモンの高値が見出されたが,それ以上の検査,治療を受けることなく放置した.1987年3月頃より,易疲労感,耐寒性低下,物忘れが著明になり,動作が緩慢になってきた.4月,公立能登総合病院内科を受診した.初診時現症と検査成績:びまん性甲状腺腫あり(II度),横径7cm,手指振戦なし,眼球突出あり(17mm),血中FT3 0.60pg/ml(2.25〜5.36),FT4 0.14ng/dl(0.7〜2.1),TSH 47.1μU/ml(0.1〜5.1),抗サイログロブリン抗体〔TGHA〕(-),抗マイクロゾーム抗体〔MCHA〕102,400倍,TSH受容体抗体〔TBII〕85.4%(10%以下),以上の成績より原発性甲状腺機能低下症と診断し,チラージンS(100 μg/日)投与を開始した.甲状腺腫および甲状腺機能は速やかに改善し,euthyroidになった.この時,TBII(TSH binding inhibiting immunoglobulins),TSI(刺激型TSH受容体抗体),TSBAb(阻害型TSH受容体抗体)の測定を行ったところ,それぞれ81.7%(<10%),120%(<145%),93%(<40%)であった.
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