検査
検査データをどう読むか
小泉 文明
1
1東北大学医学部・臨床検査診断学
pp.528-531
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222377
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症例:53歳,女性(49歳で閉経).主訴:下肢の脱力.家族歴:特記すべきことはない.既往歴:1)30歳の時帝王切開を受けた.2)34歳の時より,貧血として数年間にわたり鉄剤の投与を受けた.現病歴:昭和59年12月,昼食前に手と口唇のしびれとともに下肢に力が入らなくなり,座り込んでしまい,起き上がろうとしたが思うように四肢が動かなくなった.3時間位横臥していたら症状は全く消失した.その後数回にわたり同様の症状が発現したが,1〜2時間休み,食事を摂取すると症状が消失した.昭和60年6月ビル内で研修中,歩行中に力が抜け,倒れこんでしまい,ただちにビル内のクリニックで診察を受けた結果,中枢神経系の障害を疑われ,東北大学附属病院神経内科を紹介された.諸検査の結果,神経学的には異常がなく,低血糖が認められたため,精査を目的として昭和60年7月26日第3内科に入院した.入院時所見:身長163cm,体重50kg.血圧98/68,脈拍60/分整.胸部に異常はなく,腹部は下腹部正中に手術痕を認め,肝を0.5横指(辺縁軟,鋭,表面滑)触知したが,圧痛,波動,腫瘤などは認められなかった.皮膚に発汗はなく,出血斑,色素脱失ならびに沈着,腋毛,恥毛などの脱落も認められなかった.四肢の異常運動,運動障害,病的反射なども認められなかった.
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