今月の主題 臓器感染症と抗生物質の選択
気道感染症
市中肺炎の治療
新実 彰男
1
,
久世 文幸
1
1京都大学胸部疾患研究所・第1内科
pp.1696-1699
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901079
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ポイント
1)喀痰,血液,胸水などからの菌の分離や血清学的診断法により,起炎菌を決定する努力を怠ってはならない.しかし結果が判明するまでに一定の時間を要し,また有意な結果が得られず起炎菌を決定し得ない例も少なくない.したがって,患者の背景因子(年齢,基礎疾患の有無など)や臨床所見(胸部X線所見,喀痰の有無,呼吸器以外の全身症状の有無など)から起炎菌を推定して,適切と考えられる抗菌薬を選択し,早急に治療を開始する必要に迫られることが多い.起炎菌が判明した時点で投与中の薬剤を緊急に再評価し,必要なら適切な薬剤に変更することは述べるまでもない.
2)基礎疾患のない若年者では肺炎球菌,マイコプラズマ,ウイルス,クラミジア(Chlamydia psittaci),レジオネラが主要な起炎菌である.軽症例では経口抗菌薬による外来治療が可能であり,マクロライド系,テトラサイクリン系,ニューキノロン系薬剤などが第1選択剤となる.中等症〜重症例では入院の上で,マクロライド系,テトラサイクリン系やペニシリン系,セフェム系薬剤などの点滴投与を行う.起炎菌としてマイコプラズマ,クラミジア,レジオネラの可能性が大きい場合は,ペニシリン系あるいはセフェム系薬剤の選択は不適切であることは留意する必要がある.
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