今月の主題 抗生物質の使い方
内科的感染症と抗生物質投与法
市中感染肺炎
倉澤 卓也
1
,
新実 彰男
1
1京都大学胸部疾患研究所・第1内科
pp.1175-1178
発行日 1990年7月10日
Published Date 1990/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900293
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肺炎の原因菌は多種多様であるが,健常者が一次的に弱毒菌や多剤耐性菌に感染することはきわめて稀であり,易感染性の基礎疾患を有する患者や高齢者とは好発する起炎菌も異なり,選択すべき抗菌剤も自ずと相違する.このような観点から,既往歴や基礎疾患の有無など患者の背景因子や感染の場としての生活環境などにより,市中感染肺炎患者は,
1)基礎疾患のない非高齢健常者
2)高齢者
3)慢性下気道疾患患者(気管支拡張症,感染型慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎など)
4)慢性消耗性疾患患者(糖尿病,アルコール常用,ステロイド常用,担癌状態,人工透析,うっ血性心不全,胃切除後など)
に分類される.
市中感染肺炎を,高齢者や易感染患者を除外して,狭義に非高齢の基礎疾患のない患者に限定する研究者もいるが,本稿では日常の外来診療上の便宜を考慮して,広義に解釈し,市中感染のため外来を受診する患者全体を対象に考察する.
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