循環器疾患診療メモ
神経性無食欲症と心電図異常
佐藤 裕史
1
,
山科 章
1
,
高尾 信廣
1
1聖路加国際病院・内科
pp.907-909
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900891
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神経性無食欲症(Anorexia nervosa;以下AN)は,家族病理を背景とし,自立障害,成熟拒否,body-imageの障害などから拒食をきたす精神障害であるが1),拒食の結果生じる著しい痩せからさまざまな身体障害をきたし,死に至ることもまれではない.
死亡例の多くは突然死とされ,心電図異常,ことにQT延長の関連している可能性が諸外国の文献で指摘されている.本邦ではANとQT延長との関連について言及した文献はほとんどないが,筆者らは最近,AN患者で,著明な徐脈,II度房室ブロック,心収縮能低下があり,一時的ペースメーカー挿入後にT波の陰転化とQT延長をきたした1例を経験している(表1,図1,2).
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