今月の主題 STROKE—脳卒中診療のポイント
脳卒中の診断
頸動脈病変の非侵襲的診断法
星野 晴彦
1
1東京都済生会中央病院・神経内科
pp.2428-2430
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900626
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●脳梗塞の成因・予防治療における頸動脈病変の意義
内頸動脈起始部は動脈硬化の好発部位であり,頸部皮下数cmと浅いところを走行しているために,内膜摘除術による手術的な治療が可能な部位である.
内頸動脈起始部で動脈硬化に伴い内膜肥厚によるplaque形成が起こりやすい原因は明らかにはされていないが,内頸動脈起始部は狭窄のない正常でも渦流を呈しており,その複雑な血流動態によって生ずるshear stressによる微小な障害の繰り返しが,plaque形成の1つの原因と考えられている.plaqueの脳卒中の成因に及ぼす機序としては,狭窄による血流不全によるもの(hemodyna-mic effect)と,artery-to-arteryの塞栓源としての2つが重要である.狭窄病変が直径にして50%,内腔面積にして75%以上の狭窄になると,末梢の血流低下が起こるとされている.また,plaqueは経時的に次第に大きくなるのみならず,縮小することも報告されている.さらに,plaqueは大部分は比較的安定したものであるが,plaque内出血や潰瘍形成により,急激に狭窄の程度が増したり,さらには血管を閉塞させる機転が推定されている.このため,経時的なplaqueの変化をとらえ,さらにその性状を詳細に知ることが,脳卒中の病態を解明・予防する上で重要である.
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