今月の主題 内科医のための小児診療のコツ
主な症状・疾患の診療の要点
リンパ節腫脹
別所 文雄
1
1東京大学医学部・小児科
pp.1358-1359
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900344
- 有料閲覧
- 文献概要
●はじめに—小児とリンパ節
小児期には著しいリンパ系の発達がみられる.乳児の胸部X線単純写真で,前上縦隔の大きな胸腺が異常腫瘤陰影と間違われることも稀でないし,扁桃もしばしば咽頭が見えないほど巨大である.リンパ節も同様で,まったく正常と思われる小児でも全身各所のリンパ節をよく触知し,後頭部の毛髪の生え際に沿って触知するリンパ節に気が付いた母親が,この「クリクリ」はなんでしょうかと心配そうに尋ねてくることも稀でない.さらにこれらのリンパ節は,湿疹やウイルス感染など日常しばしばみられる軽微な疾患により容易に大きさを増す.小児期の一定の時期にこれらのリンパ組織が明瞭でない場合にはむしろ免疫不全を疑う必要があるほどである.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.