今月の主題 わかりやすい心電図の臨床
疾患と心電図異常
心肥大と心電図異常
夏目 隆史
1
1自治医科大学・循環器内科
pp.998-1000
発行日 1990年6月10日
Published Date 1990/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900248
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心房・心室の肥大は,心臓に対する圧あるいは容量などの血行力学的負荷や,心筋それ自体の病的変化として生じるもので,日常診療の中でしばしば認められる,重要な心電図学的所見である.
心筋の肥大とは心筋線維がその径を増大させ断面積が増すことにより,心房あるいは心室壁の厚さが増加することである.心電図学的に見られる基本的な変化は,心筋の肥大に伴う心筋線維の内部抵抗の減少と電流増加,心房・心室壁の肥厚に伴う心表面積の増加,およびそれによる心臓の胸壁接近により肥大心房・心室側に向かう平均瞬間ベクトルの大きさが増大することであると考えられる.さらに壁厚の増大による興奮伝導時間の延長や,再分極過程の変化による二次的なT変化なども認められる.
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