心電図講座
右心室肥大心電図
森 文信
1
1下関市立中央病院・内科
pp.620-623
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204738
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右心室肥大をおこす疾患
右心室肥大をきたす疾患は,大きく分けると,多くの先天性心疾患,僧帽弁狭窄症および肺性心である.種々の疾患があってもたいていはこの3つのどれかに入れることができる。たとえば,肥満のために多血症をきたし,呼吸促迫を示し,傾眠になるところのPickwickian syndromeも大きくいえば,肺性心である,右心室肥大をきたす疾患を前回の左心室肥大同様,圧負荷と容量負荷とに分けて整理すると,次のようになる.
理屈では,圧負荷と容量負荷ときれいに区別することができるが,実際の症例ではこの両老が一緒にある場合の方が多い.たとえば,僧帽弁狭窄症では,左房から血液が出てゆかず,そのために肺高血圧となり,右心室肥大を招来する.ここまでは圧負荷である.ところが,肺動脈が肺高血圧のために拡張してくると,肺動脈弁のところで,半月弁が寸足らずとなり,機能的に肺動脈弁閉鎖不全をおこす.さらに,右心室が拡張すると三尖弁までが寸足らずとなって,同様に機能的な三尖弁閉鎖不全になる。こうなると,容量負荷によって右心室肥大をさらに増強することになる.
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