今月の主題 呼吸不全の臨床
呼吸不全治療の新しいアプローチ
過誤腫性肺脈管筋腫症のホルモン療法
山口 昭彦
1
1虎の門病院・呼吸器科
pp.817-820
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900208
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●疾患概念と臨床像
びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症(diffuse pulmonaryhamartoangiomyomatosis)は若年から中年の生殖可能年齢の女性に見られる比較的稀な疾患であり,肺リンパ管筋腫症(pulmonary lymphangiomyomatosis)とも呼ばれている.成因は明らかではないが,先天的要因や過誤腫的性格が濃厚であり,形態学的立場から,1970年,山中,斎木により命名された1).
反復する自然気胸,労作時息切れを特徴とし,血疾,乳び胸水などをきたす.時に結節性硬化症(tuberoussclerosis)を合併する6,15).肉眼所見では,肺表面に数mm〜2 cmまでの多数の気腫性嚢胞が存在し,「いくら,すじこ」状を呈する.組織学的には,平滑筋の増殖が肺胞系,肺の脈管系およびリンパ管に目立ち,呼吸細気管支周囲の筋増生に伴うair trappingなどにより,気腫性変化,蜂窩肺が生じるとされている.血液および生化学検査では,血清アンギオテンシン変換酵素(ACE)の高値が知られている6,12).予後は不良であり,死因の主なものは気胸を含めた呼吸不全である.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.