今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
診断と評価
PETで何が分かったか
神原 啓文
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.50-51
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900016
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●PETの特色
PET(positron emission tomography)は,小型サイクロトロンで生成されたポジトロン核種を用いる放射性断層イメージ法である.通常の放射性核種はsingle emissionと呼ばれ一方向性の放射線を出すのに対し,ポジトロンは180°対向方向に544keVのγ線を放出する性質を有する.したがって,対向型γカメラを用い同時に両カメラに入射した放射カウントを測定すると,図のようにその位置によらず深部減衰を正確に補正することが可能である.また,その分解能は筆者らの使用する機器では6×6mmと通常のSPECTより良好である.
ポジトロン核種としては11C,13N,15Oなど生体の構成元素を利用できるため,代謝産物を標識することにより,心筋血流のみならず,心筋代謝の測定が可能となる.心筋血流を知るトレーサーとして現在13NH3を用いているが,高血流領域では心筋摂取率が低下して過小評価する可能性があり,定量的な評価には問題が残る.H215Oは血中より細胞膜を自由に通過して細胞内にはいるため心筋血流をより正確に反映するものとして期待されているが,血液中のカウントをC15Oなどを用いて差し引く必要があるため,その操作は煩雑である.しかも絶対値を求めるためには血中濃度を経時的に測定する必要があり,この点も制約となる.
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