今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
発生の機序と病態
stunned myocardium
児玉 和久
1
1大阪警察病院心臓センター
pp.24-25
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900007
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,心筋梗塞急性期の再疎通療法が広く普及し,きわめて早期に冠再疎通が可能となる例が増加するにつれて,冠灌流再開直後,心筋壊死には至らないが,収縮能が低下し,その機能回復に長時間を要するような可逆性心筋虚血の病態が明らかとなってきた.
Braunwaldら1)は,かかる病態を“stunned myocardium”と名づけている.“stunned”とは直訳すると“気絶した”ということになるが,心筋梗塞という強烈な虚血に曝された心筋細胞が,死滅するには至らないが,気絶するがごとく一時的な機能喪失をきたし,時間経過を経て気絶した状態から覚醒するがごとく徐々に機能を回復するような過程を単純明解に表した表現である.このような病態は急性心筋梗塞の早期治療などに関連して,非常に重要な問題であるにもかかわらず,その発生機序はいまだ解明されていないのが現状である.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.