今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
発生の機序と病態
フリーラジカル
葛谷 恒彦
1
,
鈴木 敬一郎
1
1大阪大学医学部・第1内科
pp.18-20
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900005
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近年,急性心筋梗塞における再灌流障害などでフリーラジカルや活性酸素が原因として注目されている.フリーラジカルとは不対電子をもつ分子や原子で,一般に不安定で反応性に富んでいる.一方,活性酸素とは基底状態にある酸素分子(3O2)以外の活性に富む酸素種の総称で,その主なものはスーパーオキサイド(O2-),1重項酸素(1O2),ヒドロキシラジカル(OH・),金属酸素錯体などである.これらの活性酸素が不飽和脂肪酸などと反応してできるペルオキシラジカル(LO2・),アルコキシラジカル(LO・),脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)などもこの範疇にはいる.活性酸素の中にはラジカルと非ラジカルがあり,H2O2などは非ラジカルである.フリーラジカルは不安定で寿命が短く,濃度が低く,その正確な検出,同定,定量は難しい.現在,電子スピン共鳴(ESR)を用いたスピントラッピング法,ケミルミネッセンス法などが試みられている.
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