特集 喘息・COPDと関連疾患の重要知識Up-to-date
特集にあたって
永田 真
1,2
1埼玉医科大学呼吸器内科
2埼玉医科大学病院アレルギーセンター
pp.2212-2213
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229895
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咳・痰・息切れなど気道系の症状は,プライマリ・ケアの場できわめて頻繁に遭遇するありふれた問題です.気道系の症状がみられるときには各種の疾患が想定しえますが,そのなかでも喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は重要なcommon diseaseです.気道系は生活環境中の各種吸入性アレルゲンや病原微生物,喫煙などの有害物質,またそのほかの環境汚染物質に曝露され,常に影響を受けています.喘息ではいわゆるアレルギー体質が基礎に存在するため,短期的には治療が奏効しても,長期的にはしばしば慢性化,時に難治化し,患者を苦しめることとなります.COPDでは気道構造の不可逆的変化の要素が大きく,生涯にわたる適切な管理が求められます.実際の臨床の場では,これらの関連疾患の鑑別や対応もきわめて重要なこととなります.
気道症状があるとき,基礎に複数の疾患が併存しうることもきわめて重要です.その代表はよく知られる喘息とCOPDの合併です.喘息のわが国における近年の有病率は10%近いとも推計されています.わが国の喘息の最も代表的な病因アレルゲンは室塵中のダニですが,ダニ感作例でも例えばアレルギー性鼻炎が発症しているものの,喘息は未発症のまま成人となるケースは日常的に存在します.これらの方々では喫煙習慣が形成されることがありますし,この場合,喫煙の下気道病変へのインパクトは,基礎にアレルギー性気道炎症があるゆえにきわめて大きいと推定されるのです.われわれは患者の既往歴を含む背景因子や環境要因,また生活習慣などにも十分注意する必要があり,これらを踏まえた全人的・包括的な管理を行う視点が大切です.
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