書評
—三宅 秀彦 著—遺伝カウンセリングロールプレイ—段階的に学べるシナリオ集
小杉 眞司
1
,
吉田 晶子
2
1京都大学大学院医学研究科・医療倫理学・遺伝医療学
2京都大学大学院医学研究科・ゲノム医療学講座
pp.1973
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227902
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遺伝カウンセリングを学ぶすべての学習者にとって,ロールプレイは重要な学びの場である.しかしながら,どのようにロールプレイに臨むべきか,また生かすことができるのかを十分に把握できず,戸惑うことも少なくないのではないだろうか.結果,ロールプレイ前のディスカッションが盛り上がらない,勉強にはなったが大変だった,という感想になることをよく経験している.
本書は,京都大学とお茶の水女子大学で遺伝カウンセラー教育に携われてこられた三宅氏の経験を基盤に,認定遺伝カウンセラー制度委員会委員長として今後の展望も含めて執筆された充実したテキストとなっている.第1部では遺伝カウンセリングにおけるコミュニケーションスキル,ロールプレイの目標設定から,遺伝カウンセリング担当者の事前準備,クライエント役の準備,実施,フィードバックの方法,最後のまとめまで,ポイントを絞った形で記載されている.初学者がロールプレイ全体を把握するのに適しており,また経験者にとっても,自分自身の達成度を見直すことができる.そして,指導者やファシリテーターには,指導方法や議論の進め方の改善に役立つ視点が多数盛り込まれている.
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