特集 日常診療で内分泌疾患を見逃さない!
代表的内分泌疾患
【副甲状腺疾患・骨代謝異常】
【Column】局在不明の原発性副甲状腺機能亢進症の治療方針
竹内 靖博
1
1虎の門病院内分泌代謝科
pp.1418-1419
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227768
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原発性副甲状腺機能亢進症の有病率は米国カリフォルニア州の調査では女性で0.233%,男性で0.085%と推定されており1),内分泌疾患としては甲状腺機能低下症やBasedow病に次いで頻度の高いものである.なお,この調査では白人に比べてアジア人での頻度は低いとされている.現在,新規に診断される原発性副甲状腺機能亢進症の多くは無症状であり,無症候性原発性副甲状腺機能亢進症が大半である.このような場合,根治的な治療である責任病巣の副甲状腺摘除手術を推奨する条件についての国際的コンセンサスが提唱されている2).また,本症が関与するアウトカムとして重要な骨折発症に関しては,手術療法によるその抑制を支持する十分なデータが蓄積されつつある3〜5).
その一方で,本症の長期的な生命予後に対する手術の効果については議論のあるところであり,少なくとも短期的にあるいは直接に生命予後に関与するという根拠はないため,手術の選択については患者の希望が大きく影響する.これらの背景を踏まえて,局在不明の原発性副甲状腺機能亢進症の治療方針について考えてみたい.
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