特集 日常診療で内分泌疾患を見逃さない!
代表的内分泌疾患
【甲状腺疾患】
【Column】甲状腺機能低下症とnonthyroidal illnessの鑑別
田上 哲也
1
1国立病院機構京都医療センター内分泌・代謝内科
pp.1403-1405
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227765
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nonthyroidal illnessとは
nonthyroidal illness(NTI)は心不全,腎不全,肝硬変,糖尿病,摂食障害,悪液質など全身の消耗性疾患において高頻度に伴う甲状腺ホルモンの異常である(表1).すなわち,甲状腺疾患以外の疾患が原因で甲状腺機能に異常をきたす病態であり,厳密には甲状腺機能低下症ではない.全身のエネルギー代謝を抑制(エネルギー消費を節約)するための生体反応として,サイロキシン(T4)が非活性型のリバーストリヨードサイロニン(reverse T3:rT3,非活性型甲状腺ホルモンで,現在測定はできない)に転換されることによる1).
ICU患者の70%に血清T3や遊離T3(FT3)の低下を認めたという報告がある.そして全身状態の悪化(基礎疾患の重篤化)に伴ってT4や遊離T4(FT4)も低下してくる(図1)2).甲状腺刺激ホルモン(TSH)は正常であることが多いが,低値ないし軽度上昇する場合もある(生物活性の低いTSHの増加による).
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