特集 日常診療で内分泌疾患を見逃さない!
代表的内分泌疾患
【下垂体疾患】
【Column】非特異的症候を契機に疑う下垂体機能低下症の診断のポイント
桒田 博仁
1
,
高橋 裕
1
1奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座
pp.1382-1384
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227761
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下垂体は前葉と後葉から成り,前葉からは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),プロラクチン(PRL),成長ホルモン(GH)の6種,後葉からはバソプレシン(抗利尿ホルモン)とオキシトシンの2種が分泌される.下垂体機能低下症において,ホルモンの標的臓器は全身であるため症状が多岐にわたり,「不定愁訴」と捉えられることも少なくない.また,低ナトリウム(Na)血症や好酸球増多,低血糖などの非特異的な検査異常が下垂体機能低下症と診断されるきっかけになることも珍しくない.
下垂体ホルモンのうちACTH,TSHは生命維持に必須であるが,LH/FSH,GHについても“その人らしさ”や気力・体力,QOLの維持にきわめて重要であり,的確に診断・治療を行う必要がある.特に中枢性副腎不全による副腎クリーゼは,治療を誤ると致命的なので見逃してはならない.本稿では,そのような非特異的症候を契機に疑う下垂体機能低下症(前葉ホルモン分泌不全)およびバソプレシン分泌不全による中枢性尿崩症の診断のポイントについて概説する.
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