連載 フレーズにピンときたら,このパターン! 鑑別診断に使えるカード・17
「徐脈を伴うショック」「遅発性アナフィラキシー(delayed anaphylaxis)」「急性発症の開口障害」
長野 広之
1
1京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野
pp.896-903
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227648
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総論
ショックとは「酸素供給の低下,酸素消費量の増加,そして酸素利用の不十分さによる細胞/組織の低酸素状態」と定義されます.そして大きく①心原性(心筋梗塞,不整脈),②閉塞性(肺塞栓,緊張性気胸),③循環血液量減少性(消化管出血,腹腔内出血,脱水),④血液分布異常性(敗血症,アナフィラキシー,神経原性)に分かれます.
ショックの徴候には低血圧,頻脈,意識状態の変化,乏尿,代謝性アシドーシス,そして「5P」と呼ばれる蒼白(pallor),虚脱(prostration),冷や汗(perspiration),呼吸不全(pulmonary insufficiency),脈拍触知不能(pulselessness)があります.このなかでも頻脈,意識状態の変化,蒼白,冷や汗などから血圧が下がる前にショックと気づくのは重要です.ショック=血圧低下ではありません.頻脈はショックの初期の代償作用としてみられる場合が多いですが,逆に徐脈を伴う場合は鑑別が絞られます.筆者は徐脈を伴うショックの鑑別を「VF AED ON」の語呂合わせで覚えています(表1).
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