書評
—監訳・訳:岩田健太郎 訳:坂本史衣・大須賀華子・本田 仁・四宮博人・𡈽井朝子—CDCのフィールド疫学マニュアル—The CDC Field Epidemiology Manual
青木 眞
pp.801-802
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227627
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<天気「後」報から天気予報の国へ>
昨今の天気予報は非常に良く当たる.筆者が子供の頃の「晴れたり曇ったりところにより雨」とは隔世の感がある(筆者の記憶違いであったらごめんなさい).明日の天気に関する情報は洗濯,買い物,その他,庶民のさまざまな生活に有用である.実際,「洗濯日和」など,「何をしたらよいのか」までガイドしてくれる昨今の天気予報である.逆に昨日は雨でしたが,一昨日は快晴で洗濯日和でした…といった過去の情報は庶民にはあまり意味がない.だいたい過去の情報をどのように今日用いたらよいのか庶民にはわからないのだから.
あの「3.11」から10年を迎えたが,日々報道される「昨日」のコロナ感染者が何名,累計死亡者数が何名という数字が不思議な既視感を与える.10年前も,昨日は何ベクレル,何シーベルトであるという数字が毎日テレビなどに流されつつ,それでいて筆者を含め庶民は「だから今日どうしたらよいのか」わからなかった.野菜を避けるべきか,西に非難すべきか…わからなかった.ちょうど今回,GoToすべきかどうかわからなかったように.感染者数でも放射能でも何の目的ももたずに漠然と数字を羅列し続ける病理は何に起因するのか?
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