書評
—田口 敏彦,飯田 宏樹,牛田 享宏 監修 野口 光一,矢吹 省司,上園 晶一,山口 重樹,池内 昌彦 編—疼痛医学
菊地 臣一
1
1一般財団法人脳神経疾患研究所
pp.849
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227638
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今という時代,疼痛の診療や研究が,少し前と比較しても,劇的に変化してきている.その変化は,従来われわれが認識していた以上に大きい.今や,疼痛は専門家だけがかかわっていれば良い時代ではなくなっている.また,先進諸国では,疼痛対策が政府の主要な政策目標の1つになっている.
評者が大学卒業後間もない1970年代初頭,腰痛の患者が受診すると,問診と身体所見の評価の後に,必ず単純X線写真を撮影した.当然,脊椎には変性所見が認められるので,「骨棘が痛みを起こしています.歳のせいですね」と説明するのが一般的であった.治療は,安静,けん引を含む理学療法,そして薬物療法が主体であった.腰痛を生涯の研究主題としてきた評者にとっては,当時,疼痛診療の最前線が今のような変貌を遂げるとは想像もできなかった.
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