書評
—余宮きのみ 著—がん疼痛緩和の薬がわかる本 第3版
伊勢 雄也
1
1日本医科大学附属病院薬剤部
pp.741
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226956
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ヒドロモルフォンやメサドンなど,がん疼痛に対するオピオイド製剤が数年の間に相次いで登場し,個々の患者の疼痛や病態に適応した治療が行えるようになりました.また,オピオイド製剤以外にもナルデメジンといった副作用対策の薬剤も発売され,緩和医療分野における薬物治療は新しい時代に突入したといっても過言ではありません.しかし,これらの薬剤は痛みに苦しむがん患者にとって有用である一方,使い方を間違えれば重篤な副作用を発現する可能性があります.例えば,メサドンはQT延長などの致死的な不整脈を発現する可能性があり,使用の際には定期的に副作用をモニターしなければなりません.また,ナルデメジンも下痢などの消化器症状に十分注意しなければなりません.そのため,緩和医療の分野でも知識を日々アップデートしていくことが必要です.
本書は「難しいことをやさしく理解できるように」「臨床現場で役立つ」というコンセプトのもと記載されており,緩和ケアをこれから学ぼうと思っている薬剤師の方々や学生でも,個々のがん疼痛治療薬の有効性や副作用を短時間で学べるよう,たくさんの工夫がなされています.
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