特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?
扉
上妻 謙
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1帝京大学医学部内科学講座・循環器内科
pp.199
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226024
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超高齢時代を迎え,冠動脈疾患や脳血管疾患,末梢動脈疾患など,動脈硬化疾患による心血管イベントは,悪性腫瘍と並んで死亡原因の上位を占めている.これらは動脈硬化プラークの破綻あるいはびらんに伴って生じた血栓によって発症するため,抗血小板薬による抗血栓療法が広く行われるようになってきた.
抗血栓療法は抗血小板療法と抗凝固療法に分けられる.前者は文字通り,抗血小板薬を用いて血小板の凝集を抑制するもので,主として動脈系を中心としたアテローム血栓症の予防に有効とされている.一方,後者は抗凝固薬によって血液の凝固因子を阻害することで,赤血球やフィブリンによる大きな血栓の凝集を抑制するもので,主に流速の遅い静脈系,左房などの血栓塞栓症の予防に有効と言われてきた.しかし近年,こうした概念を覆すような臨床試験の結果が次々と発表され,今までの血栓に対する考え方を見直す必要が出てきている.
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