書評
—鋪野紀好,生坂政臣 監訳—50のCommon Diseaseから学ぶ診断推論
大平 善之
1
1国際医療福祉大学医学部総合診療医学
pp.1349
発行日 2018年8月10日
Published Date 2018/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225748
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
診断推論の第一人者である生坂政臣先生とその弟子である鋪野紀好先生が監訳された診断推論に関する書籍の日本語版である.原著の細かいニュアンスも可能な限り日本語訳に反映されている.生坂教授は私の師匠であるが,その欲目を差し引いても本書がこれから診断推論を学ぶ医学生,臨床研修医,専攻医はもちろん,我々,総合診療に携わる医師,実地医家の先生方の生涯教育のツールとしても有用な一冊であることは疑いようがない.
本書は,二部構成になっており,Part 1では,前半で病歴聴取を中心に診療の基本について,後半で臨床推論のプロセスについて概説されている.Part 2では,一般外来における高頻度疾患から見逃してはならない疾患まで,総合診療医が対応すべき50症例を通じて診断推論のいろはを学習できる.各症例の冒頭で,患者の年齢,性別に加え,簡単な患者背景,病歴情報が示され,その情報から追加で聴取すべき情報,考えるべき疾患とそれらを鑑別するために有用な質問,治療,マネジメントなど,診療のさまざまな場面で直面する問題について読者に考えさせる構成になっている.また,類書では,身体診察,場合によっては検査結果まで供覧した上で質問が投げかけられるが,本書では,多忙,かつ利用できる医療資源が限られた外来で,最も効率的で効果的な病歴情報からの診断プロセスを学習できるのも特徴である.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.