書評
—小川 朝生 著—あなたの患者さん,認知症かもしれません—急性期・一般病院におけるアセスメントからBPSD・せん妄の予防,意思決定・退院支援まで
桑田 美代子
1,2
1青梅慶友病院
2よみうりランド慶友病院看護介護開発室
pp.1029
発行日 2018年6月10日
Published Date 2018/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225668
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「桑田さんから紹介された小川先生の本,面白くてもう2回も読んだわ.認知症のことわかっていると思っていたけど,改めて勉強になった! すごく読みやすいのよ」と,当法人の看護部長が意気揚々と語ってくれた.面白かったという点は以下の通りである.認知症に関する知識の整理につながった.随所に「ポイント」として,重要な点が簡潔にまとめてあるのも理解の助けになった.そして,皆が疑問に思うことに答えるような書き方になっている.急性期・一般病院で日常起こっている現象だから,「ある・ある」と自然に頭に入る.小川先生の講義を聞いている印象さえすると語っていた.
認知症患者は,“大変な患者”の一言で語られてしまう現状もある.スタッフは忙しいのに対応しきれない.そして,ケアする側が大変と受け取れば,それは“不穏”“問題”と表現され,その理由に目が向けられない.ケアする側が不安や混乱を増強させていることに気付いていない.だから,根本の原因解決となる対応にはつながらない.本書は,その根本原因の解決につながる知識,現象のみかたが書かれている.認知症をもつ人の生活のしづらさ,苦痛や不安に焦点をあて,認知症の知識に基づき,その原因がひもとかれている.だから,「なるほど,そうなんだ!」と合点がいくのである.みかたが変わると,現象の受け止め方も変わり,ケアする側の気持ちにも余裕が出てくる.
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