特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選
扉
矢野 晴美
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1国際医療福祉大学医学部・医学教育統括センター
pp.759
発行日 2018年5月10日
Published Date 2018/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225604
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感染症の診療状況は,この10〜15年あまりで大きく進化・向上してきた.1980年代のHIV/AIDS,1990年代の鳥インフルエンザ,2000年代のバイオテロリズム,そして院内感染のアウトブレイクが医療安全面からもクローズアップされるようになった.私事であるが,2000年に一時帰国していた頃,バイオテロリズムの発生を受けて「標準予防策」の実践教育や講演に奔走した.2005年に帰国した際には,発熱のある患者に対して,血液培養を2セット採取することを多くの方にお話しした.また,2002年に立ち上げた「日本の感染症科をつくる会」のメーリングリストから,2005年に日本感染症教育研究会「IDATEN」が発足し,初代代表世話人を務めさせていただいた.合宿セミナーや症例カンファレンスを定期開催し,約10年間携わらせていただきながら,日本全体として感染症診療が大きく変化していることを体感してきた.
現在,日本は超高齢社会を迎え,高齢者の医療ニーズへの対応が急務である.免疫抑制薬の開発から免疫不全患者が増え,さまざまな感染症への対応がプライマリケアの現場でも必要となってきている.また,2016年の伊勢志摩サミット以来,国家を挙げて薬剤耐性(AMR)対策アクションプランなどが次々と決定・実行され,2018年4月からは抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)に対しても,加算点数が保険診療に組み込まれた.
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