書評
—福井次矢,奈良信雄 編—内科診断学 第3版
長谷川 仁志
1
1秋田大大学院・医学教育学
pp.1169
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224258
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日本で「医学教育の国際認証評価時代」の動きが本格的に始まってきている2016年2月に,待望の『内科診断学 第3版』が発刊された.8年ぶりに大幅改訂された中身を見て,まさにこのテキストは医学科1年生からの臨床実習前教育から診療参加型臨床実習時,さらには生涯教育まで,すなわち初学者から指導医まで,症候・病態ベースで統合すべき日本の医学教育改革を実現化するバイブルと言えるテキストであり,内科系のみではなく,全国の全ての医学生,医学部教員,医育にかかわる機関の各科指導医の皆さんにお勧めしたい一冊であることを実感した.
その理由としては,1)始めの「診断の考え方」(第Ⅰ章)と「診察の進め方」(第Ⅱ章)で医療面接における情報収集スキルの重要性と臨床推論のエッセンス(検査前確率,尤度比など)と信頼を確立するために必要なコミュニケーションンスキルなどについて,カラー図表が駆使されて初学者でもわかりやすくまとめられていること,2)続いての「症候・病態編」(第Ⅲ章)で,発熱,全身倦怠感,めまい,頭痛,胸痛から精神領域の救急まで,何科の医師としても実践対応が可能になるよう修得すべき約100の必須症候・病態について,患者の訴え方,医療面接,身体診察,確定診断のポイントなど臨床各分野横断的な統合教育を展開するために適した内容で,幅広く網羅されていること,3)購入者は,本文を収載した付録電子版も利用でき,いつでもどこでもネットを介して読むこともできるようになったことが挙げられる.特に,1)2)については,医師の資質・人間力を養う「プロフェッショナリズム教育効果」も高く,この観点からも有用であることを強調しておきたい.
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