書評
福井次矢(編)「臨床研究マスターブック」
堀内 成子
1
1聖路加看護大・母性看護学
pp.100
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102446
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コクラン共同計画が,国民保健サービスの一環として始まりEBMが浸透していった英国でこの原稿を書いている.ICM(国際助産師連盟)評議会への出張で会議漬けだが,気がかりなものをカバンに入れてきた.一つは締め切り迫っているこの書評であり,もう一つは戻ってきたばかりの英文論文の査読結果である.指摘事項は,予測していなかった内容なので返答に時間が必要で少し憂うつな気分だ.
『臨床研究マスターブック』の著者7人のうち5人が所属している聖ルカ・ライフサイエンス研究所臨床疫学センターは,聖路加国際病院のグループ施設である.提供する医療の質を高めるために設置され,スタッフは自ら臨床研究を行うだけでなく,医療にかかわるすべての人々が行う研究をサポートする体制がとられている.本書は,日常診療の中にEBMの手法を取り入れ,世界中の研究成果を手中に入れながらベスト・プラクティスは何かを追い求めている著者らの力強い言葉が詰まっている.忙しい診療業務の合間をぬっての研究活動は容易ではないが,世界中の医療者に引用され日常診療やケアに活用される研究成果を発信してほしいという研究者マインドを持った医療者である著者らの熱い思いが伝わってくる.
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