書評
—日本医師会 編・発行 磯部光章,奥村 謙 監修 清水 渉,村川裕二,弓倉 整 編 合屋雅彦,山根禎一 編集協力—《日本医師会生涯教育シリーズ》 Electrocardiography A to Z心電図のリズムと波を見極める
杉本 恒明
1
1東大
pp.883
発行日 2016年5月10日
Published Date 2016/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224189
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本書は《日本医師会生涯教育シリーズ》の一つである.このシリーズでは,タイトルが“ABC”となっているものはよく見るが,“A to Z”というのは初めてである.書評の依頼をいただいたこともあって,「監修・編集のことば」を改めて拝見し,医学生,研修医,コメディカルスタッフ,あるいは専門医までも含めて対象とした,とあったのを見て,そのスケールの大きいことを知った.殊に,コメディカルスタッフを対象に含めたことに感心したのである.今日,看護師が専門領域を持つようになって,若い看護師たちの心電図に対する関心は極めて高く,よく知ってもいる.
評者は平素,医療機器の一般家庭への普及を願ってきた.心電計もまた,そのような大衆化された医療機器と言える時代になっているのではないか,と考えていた.狭心症症状にしても,不整脈にしても,症状があるときの心電図が極めて大事である.このためには携帯型心電計がもっと利用されてよい.家庭血圧計の普及は日常の管理の面ばかりでなく,血圧というものの生理的,病態学的意義について医学的な新知見を提供しつつある.心電図記録においても,携帯型心電計はこのような付加的価値をもち得るものであり,医学・医療に貢献するところは極めて大きいはずなのだ,という思いがある.
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