書評
—今井博久,福島紀子 編—これだけは気をつけたい高齢者への薬剤処方
徳田 安春
1
1臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄
pp.813
発行日 2016年5月10日
Published Date 2016/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224170
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ポリファーマシーは患者に不利益をもたらす.コストが増大するだけでなく,副作用のリスクも高まるからだ.特に高齢者でリスクが高く,欧米ではそのエビデンスも蓄積してきている.急速に超高齢社会となったわが国でも問題となっており,われわれの一連の研究でもそのリスクが示されている.急性期病院への入院の原因となる急病のうち少なく見積もっても5%は薬の副作用によるものであった1).STOPP基準(Screening Tool of Older Person's potentially inappropriate Prescriptions criteria)によると,在宅医療の患者の約1/3の人々が不適切処方(Potentially Inappropriate Medication:PIM)を受けていたと報告されている2).
このような状況で,ポリファーマシー患者の入院を受け入れている全国の急性期病院では,脱処方(De-Prescribing)の業務を行う役割を担っている.患者の利益と不利益をてんびんにかけながら処方分析を行い,不適切処方を減らす.退院時には,かかりつけ医師に電話で直接連絡を取り,退院時薬剤処方確認(Discharge Medication Reconciliation)を伝える.このような脱処方の任務を行うことが,ホスピタリスト医師の日常業務のうちの大きな部分を占めるようになった.
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