書評
—谷口俊文 訳—医師として知らなければ恥ずかしい50の臨床研究—(原著:50 Studies Every Doctor Should Know─The Key Studies that Form the Foundation of Evidence Based Medicine, Revised Edition)
喜瀬 守人
1,2
1医療福祉生協連 家庭医療学開発センター
2川崎医療生協 久地診療所
pp.509
発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402224004
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EBM(evidence-based medicine)の5ステップである疑問の定式化・情報収集・批判的吟味・患者への情報提供・振り返りのうち,批判的吟味はとりわけ難易度の高い「関門」です.それ故に,批判的吟味の労力を減らしてアクセスしやすい情報を提供する試みは複数行われています.2次文献であるUpToDate®やDynaMed®は代表格ですし,Journal Watch Online®のように新着論文から興味深いものを選んで要約してくれるサービスもあります.それでも,幅広い分野のマイルストーンとなる重要論文を網羅した本書のような構成というのはあまり目にしません.重要な医学論文についてまとめて知りたい初学者,ジェネラリストにとって特に有用な一冊です.
例えばUKPDS(15章)は,論文発表から十数年が経過した現在でも,頑健robustなエビデンスとしてわれわれの糖尿病診療を下支えしています.CAST試験(8章)は,心筋梗塞後の不整脈を予防するための薬物治療が,実は患者予後を改善しないという結果になり,真のアウトカムの重要性を図らずも示しました.その他にも,われわれの日常診療に変化をもたらした重要な研究が多く掲載されています.
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