書評
—小泉俊三 監訳—テイラー 10分間鑑別診断マニュアル 第3版—原著:Taylor's Differential Diagnosis Manual;Symptoms and Signs in the Time-Limited Encounter, 3rd ed
鈴木 富雄
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1大阪医科大学附属病院総合診療科
pp.1889
発行日 2015年10月10日
Published Date 2015/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223743
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外来診療のマニュアルとして評判の高い本書の第3版がこの度翻訳され,手元に届いた.
第1章「10分間診断の基本原理」の部分は,初版から記述された内容とのことであるが,この基本原理は最新版でも残され,ある意味本書のなかで最も重要な章となっている.「診察中ずっと診断のきっかけとなる鍵を探し続けよう」,「まず最もありふれたことを考えよう」,「利用可能な援助はすべて使おう」,「問題の心理社会的側面を考慮しよう」,「助けが必要なときには助けを呼ぼう」,「連続的に進化する診断という枠組みのなかで考えよう」.テイラー先生は平易な語り口で基本原理を問いかけてくるが,その内容は日夜外来診療に従事する私たち医師にとって極めて有益で多くの示唆に富み,診療に対して不安を抱いている研修医のみならず,20年選手のベテラン勢にとっても,間違いなく心に響くメッセージとなっている.この最初の数ページにわたる基本原理の章に目を通すだけでも,明日から診察室に入る心持が違ってくる.
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