書評
—青柳有紀・本田 仁 著—感染症的往復書簡—2つのアプローチ
徳田 安春
1
1独立行政法人地域医療機能推進機構本部
pp.1371
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223625
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感染症関連の書籍はここ数年で多種類出ている.とはいえ,実際の臨床現場で多くの医師が困っている複雑なケース(現実のケースはほとんどすべて複雑例)について,感染症科医にコンサルトをしたときの,そのコンサルタントの頭の中をのぞくことができるような書籍ははたしてあっただろうか.しかもその感染症科医がグローバルに活躍している希有な2人のエキスパートであったとしたら・・・.
そこで,この『感染症的往復書簡』が出た.本書はこれまでにないスタイルを取っている.二人の感染症エキスパートが,それぞれのケースでお互いの意見をぶつけ合う他流試合での真剣勝負.吉川英治著の「宮本武蔵」で武蔵と小次郎が対決する巌流島のシーンを彷彿させる.実際に経験した複雑な感染症ケースについて,リアルタイムの時系列ポイントで,感染症科医はどう考えるか? 鑑別診断は? エンピリックな治療の具体的な選択は?どのような検査を出す? など,本書では,これらについて困っている我々にアドバイスを与えてくれる感染症科医の頭の中をのぞくことができるのだ.
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