増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液検査
血球検査
造血器腫瘍の遺伝子・染色体検査
宮地 勇人
1
1東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学
pp.72-75
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223205
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検査の概要
◆白血病
白血病において染色体転座の結果,2つの遺伝子内の切断点においてお互いが融合し,キメラ遺伝子,さらにキメラmRNAを生じる.これを検出指標(転座マーカー)として,染色体検査や遺伝子検査が行われる.核酸増幅法は,白血病の病型診断(表1)や治療後の微小残存病変(minimal residual disease:MRD)のモニタリングなどに利用する.抗癌薬による寛解導入療法後,または造血幹細胞移植後のMRDの高感度モニタリングは,治療効果判定,疾患予後,寛解導入療法後の個別化治療計画,再発の早期発見,移植後の治療介入(ドナーリンパ球輸注など),さらに自家骨髄移植用に採取された幹細胞の質評価の指標となる.
急性白血病の転座マーカーは骨髄性の40〜50%,リンパ性の30%の症例で利用できる(表2).そのほかMRDの分子マーカーとして,遺伝子発現マーカー(WT1発現など),FLT3変異,抗原受容体遺伝子などがある.
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