特集 ウイルス肝炎の薬物治療—変わりゆく治療戦略
ここまで変わったウイルス肝炎の治療
【C型慢性肝炎】
今後使用可能になるであろう新規抗ウイルス薬と薬剤耐性問題
朝比奈 靖浩
1
1東京医科歯科大学消化器内科・肝臓病態制御学講座
pp.314-318
発行日 2015年2月10日
Published Date 2015/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223114
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ポイント
●C型肝炎ウイルスを直接阻害する経口薬剤(DAAs)としてNS3/4A阻害薬,NS5A阻害薬,NS5B阻害薬が開発されている.
●わが国ではインターフェロン(IFN)・フリー治療として,ダクラタスビル(NS5A阻害薬)+アスナプレビル(NS3/4A阻害薬)併用療法が臨床導入された.
●今後開発が見込まれるレジメンとして,①ソフォスブビル(核酸型NS5B阻害薬)+レディパスビル(NS5A阻害薬)併用療法,②パリタプレビル(第2世代NS3/4A阻害薬)+オムビタスビル(NS5A阻害薬)併用療法があり,100%近い著効率が期待されている.
●DAAsを用いた治療では,①治療前に薬剤耐性ウイルスが存在すると治療成績が低下すること,②治療不成功例では使用したDAAsに対する薬剤耐性を生じることが問題となる.
●治療不成功により高度多剤耐性変異を生じると,ほかの同クラスのDAAsに対して交叉耐性を示し,レスキュー治療が不能となる可能性が指摘されている.
●治療方針は,薬剤開発状況を考慮し,症例ごとに発がんリスクを評価したうえで,薬剤耐性問題と宿主のIFN反応性に基づいて専門的に決定すべきである.
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