痛み・8
頭痛 その3
清原 迪夫
1
1東大麻酔科
pp.1242-1244
発行日 1968年10月10日
Published Date 1968/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223083
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前回おわりには,偏頭痛発作を急性炎症反応としてみるとすると,この反応が化学的に媒介される反応とみることができると書いた.
このとき問題になる生体細胞の1つが肥絆細胞である.人では皮膚や血管周囲にあり,他動物よりも多少多いといわれていて,皮膚では肥絆細胞の崩壊によってヒスタミンが遊離する.ヒスタミンは,キニノーゲン基質から血漿キニンを形成しうる蛋白解溶酵素をも遊離させる.偏頭痛のある人は,発作が起こりやすいときに,ヒスタミン遊離物質であるCompound 48/80の小量を側頭動脈の周囲に注射しても頭痛発作が起こってくる.GreppiとSicutteri(1964)によると,それに要する時間は,1-2時間であるという.このように遅延した反応は,ヒスタミン遊離は数分以内に最高になるから,単にヒスタミン遊離によるものでないことは明らかである.これに答えるためには,なお今後の研究が必要である.
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