連載 研修医に贈る 小児を診る心得・7
子どもの話を聴く
加藤 英治
1
1福井県済生会病院小児科
pp.180-181
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223046
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小児科の診察室では子どもが当事者です.大人の世界で,当事者の話を聞かずに物事を進めることはありません.母親から症状を聴いている時に「咳が出ますか?」と尋ねると急に咳をし始める幼児がいます.言葉をうまくしゃべれない幼児でも,自分のことが話題になっていると察して大人の中に入ってきます.幼児であっても診察室で自分が話題になっていることを理解しています.子ども自身が当事者なので話の輪に入るのは当然です.話の輪に入れることにより子どもが一人前に扱われていると感じるので,子どもの矜持をくすぐることができます.
子どもに話しかけ,子どもの話を聴くことで子どもに近づくこともできます.子どもと話すことで,子どもが自立した子か依存的な子か,または子どもの性格などを推測することもできます.会話から知的障害や発達障害の疑いをもつこともあります.子どもと良好なコミュニケーションがとれるようになれば,子どもと仲良しになれます.
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