今月の主題 循環器薬の使い方
急性心筋梗塞
血栓溶解薬の使い方
石川 欽司
1
1近畿大学医学部・第1内科
pp.1480-1482
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222654
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
急性心筋梗塞(acute myocardial infarction:AMI)は冠動脈に血栓が生じ,冠血流が杜絶するために生ずる.冠動脈血栓溶解療法(coronarythrombolysis:CT)とは血栓溶解剤によりこの血栓を溶解させて血流を再開通(recanalization)させ,壊死に直面した心筋を救う(salvage)治療法である.
昭和57年当院にCCUが設立されてから現在までの7年間に,発症24時間以内に入院したAMI350例のうち,CT療法をうけなかった179例の院内死亡は38例(21.2%)であるが,CT療法をうけた171例の死亡は15例(8.8%)と,その差は有意(p<0.01)であった.この現象は欧米,本邦における多くの施設で証明されている.AMI治療のうちで,CT療法は死亡率を明確に減少させる代表的なものである.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.