今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた
注目すべき腹痛
心身医学的に考慮すべき腹痛
並木 正義
1
1旭川医大第3内科
pp.998-999
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207281
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はじめに
腹痛を含めて,痛みという症状は心理的因子によって大いに影響されるものである.一方,診療の実際において,いろいろ検査してみても腹痛の原因を説明するに足るだけの所見を見出し得ない例もしばしばあるし,そんなに痛いはずがないと思われるような苦痛の表現を示す例,さらに痛みの場所があちこちと変わる不定な腹痛を訴える例もある.しかし,たとえ痛みの訴えが曖昧であり,一見理屈に合わなくとも,苦しんでいるのは患者自身であって,それはそれなりに意味あることとして受けとめなければならないし,その苦痛はなんとかして取り除いてやらなければならない.このような場合,腹痛という感覚に悩む人間としての把握,つまりその患者を心身両面から全体的なものとしてみつめ,取り扱うといった心身医学的立場からの配慮がどうしても必要となる1,2).以下,このような配慮がとくに必要な腹痛について述べてみたい.
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