実践診療dos and don'ts
テルモ熱,他
矢木 晋
1
1川崎医科大学・呼吸器内科
pp.632
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222407
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17歳の男性が37.2〜37.4℃の微熱を主訴に外来を受診してきた.たぶんこの年齢ならば,受験のストレスかヒステリーによるものだろうと思いながら,本人に会ってみると,何と色黒の,苦労なんぞまったくないという顔をした好青年?であった.
予想が外れ多少ぶぜんとしている私に,彼は「3カ月前に自然気胸を起こし,近くの病院へ入院しました.気胸はすぐに改善しましたが,その後より自覚的には何ともないのですが,体温を計ると昼から37.2〜37.4℃なんです.それまでは平熱だったのに……」と訴えた.体温測定をしたところ36.8℃であり,一応の診察をしたが,いたって健康であり,さらに血液検査,胸部X線なども何等異常を示唆させる所見は認めなかった.「特に異常はないようですがね……」と言いながら,使用体温計をたずねると入院先の病院で病院用電子体温計をすすめられ,それ以来,水銀体温計は使用していないとのことであった.
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