講座 図解病態のしくみ 循環器疾患・12
非リウマチ性僧帽弁膜症
石光 敏行
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.330-335
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222336
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概念
僧帽弁狭窄の原因がほぼすべてリウマチ性であるのに対して,僧帽弁閉鎖不全は種々の成因で生じることが知られている.しかしながら,僧帽弁閉鎖不全がCorvisartにより初めて臨床的に診断されてから,長年のあいだ本症の病因はすべてリウマチ熱と考えられていた.1960年代に入ると,抗生物質の使用により,リウマチ熱の発生は減少し,その結果リウマチ性弁膜症の発生も激減した.このような疫学的な変化を反映して,Burchによる乳頭筋不全症候群(1963)1),Barlowによる僧帽弁逸脱症候群(1963)2)などのリウマチ以外で生ずる僧帽弁閉鎖不全が注目され出し,ここに非リウマチ性僧帽弁閉鎖不全という概念が誕生した.
非リウマチ性僧帽弁閉鎖不全の原因となる疾患を表に示す.表のごとく,非リウマチ性僧帽弁閉鎖不全の原因疾患は,比較的まれなものが多く,またリウマチ性僧帽弁閉鎖不全が,その特徴的な聴診,心エコー図所見より容易に診断可能であるため,他のものを一括して非リウマチ性僧帽弁閉鎖不全と総称している.
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