カラーグラフ 眼と全身病
糖尿病と眼(2)
宇山 昌延
1
1関西医科大学・眼科
pp.2668-2669
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222204
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糖尿病による網膜症ははじめは単純型で,視力障害はなく,進行はゆるやかである(25巻11号参照).しかし,血糖調整が悪いと,網膜症は進行して増殖型になる.まず硝子体出血が発生する.出血が少量のときは飛蚊症を生じ(図1),大量のときは高度の視力低下を来す(図2).硝子体出血はある日突然発生する.出血は再発を繰り返し,大量の硝子体出血が眼内にたまって吸収しなくなる.また出血と共に網膜表面に結合織が増殖し,眼底後極部の網膜に皺襞を形成し(図3),やがて増殖した結合織の収縮によって網膜剥離が発生する(図4).これらはいずれも高度の視力低下を来し,完全な失明に至る.
このような眼底病変の進行過程は蛍光眼底造影によって,その病態が明らかになった.単純型では毛細血管の閉塞,小血管からの血管外漏出は小範囲,小数箇所であるが,増殖型になるとこれらの病変が広範囲で多数箇所にみられる(図5).すなわち小血管障害が高範囲になっている.
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