カラーグラフ 非観血的検査法による循環器疾患の総合診断
心室中隔基部の菲薄化を特徴とする心サルコイドーシスの1例
大木 崇
1
,
福田 信夫
1
,
河野 智彦
1
,
小川 聡
1
,
細井 憲三
1
,
森 博愛
1
1徳島大学医学部・第2内科
pp.2516-2523
発行日 1988年10月10日
Published Date 1988/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222163
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■心音図・心機図所見
1)心音図と頸動脈波曲線(図2)
洞調律時(A)と房室解離時(B)における心尖部(Apex)と第4肋間胸骨左縁(4L)の同時記録心音図および頸動脈波曲線を示す.いずれも同一gainで記録したものである.
洞調律時(A)の心音図では,II音の著しく幅広い分裂と心尖部の高調な収縮期雑音(SM)の2点が重要である.II音分裂間隔は呼気息止め時に100msecと著しい延長を示すが,著明に幅の広い右脚ブロツク型のQRS波およびQ-IIA時間(425msec)が正常であることを考慮すれば,その原因は右脚ブロックに伴うIIP出現の遅れにあると判断できる.心尖部の収縮期雑音は高調で,かつII音大動脈弁成分(IIA)まで持続している点より,逆流性雑音,すなわち僧帽弁閉鎖不全雑音と考えられる.ただし,前半の漸増・漸減型の成分には駆出性雑音が重畳している可能性が強い.
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