増刊号 診断基準とその使い方
X.神経・筋
11.Acute disseminated Encephalomyelitis
塚田 直敬
1
1信州大学医学部・第3内科
pp.2218-2219
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222069
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■疾患概念および疫学
Acute disseminated encephalomyelitis(ADEM)は臨床的に感染後あるいはワクチン接種後に,多彩な責任病巣に基づく神経症状を呈するもので,急激な炎症症状を伴って発症し,通常再発は認められず,単相性の経過をとる疾患である.病理学的に中枢神経系に散在性に静脈周囲性の脱髄を伴う炎症性細胞浸潤が認められる.
発生頻度は日本では比較的稀な疾患1)であるとされているが,欧米では多発性硬化症(MS)が多いことに対応して,ADEMは稀な疾患ではないとされている2).疫学的に感染およびワクチン接種による特異的な流行の局在性は認められない.死亡率は25〜30%で,後に神経症状を残すものが30%あるとされる.ADEMは成人よりも小児期によくみられることが多い3).
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