今月の主題 最近の腎疾患の基礎と臨床
ネフローゼ症候群の臨床
糖尿病性腎症
木田 寛
1
Hiroshi KIDA
1
1金沢大学医学部・第一内科
pp.514-515
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216475
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はじめに
インスリン・抗生物質の導入により,糖尿病の予後は著しく改善されたが,一方では,徐々に進行する全身の血管合併症が予後決定因子として大きくクローズアップされるようになってきた,その部分症の1つである糖尿病性腎症(以下腎症と略す)もこの例外ではなく,生存期間の延長とともに,重篤な症例が多くみられるようになり,糖尿病治療上の問題点の1つとされている.このような症例では,しばしばネフローゼ症候群・高窒素血症・高血圧などが同時に認められることが特徴であり,最初の記載者の名にちなんでKimmelstiel-Wilson症候群(以下K-W症候群と略す)と呼ばれている.なおK-W症候群の頻度は,糖尿病患者のたかだか10%,また諸種ネフローゼ症候群全体の5%前後であろうと推測される.
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